芙蓉総合リース株式会社
人事部 ダイバーシティ推進室
室長 園城 幸恵様
課長代理 松室 春日様
▼目次
アンケートで明らかになった、介護への不安と実態
予想をはるかに超える参加率。全社向けセミナーで得た手応え
社員の声を受け、両立支援策を次々に実行「やれることは全部やる」
今後の展望~必要な取り組みは社員の声が教えてくれる
見えにくい不安に応えるために、今出来ることから始める
「自分だけで抱え込んでしまう人がいるかもしれない」。
社員の声をきっかけに、見えにくかった課題と向き合い、両立支援施策を進めた芙蓉総合リース様。
介護に関する社員アンケートを起点に、全社向けセミナー、相談窓口、管理職研修と段階的に取り組みを広げてきました。
本記事では、実際に施策を推進されたお二人のご担当者に、
「なぜ今、介護支援に踏み出したのか」「どのように社内で動きをつくってきたのか」についてお話を伺いました。
– 「仕事と介護の両立支援」に取り組もうと思われた背景についてお聞かせください。
【園城様】
当社は、モノを販売するのではなく、サービスの企画やソリューション提案を通じて価値を提供する事業を中心に展開しています。このため「人」が価値創造の源泉であり、社員一人ひとりが力を発揮できる環境づくりは大変重要なテーマです。
これまでも「社員が安心して長く働き続けられる環境の整備」をしながら、取り組みを進めてきました。
両立支援、で言うと、育児との両立は積極的に支援してきましたが、介護に関しては正直なところ、”見えづらい”課題になっていました。介護休暇を取得する社員も少なく、具体的な相談もあまり寄せられておらず、顕在化していなかったというのが実情です。
【松室様】
2023年1月、他部署が社員から会社に意見を伝える場を設けたのですが、そこで「介護についてもっと知りたい」という声が上がったことが当部に共有され、社員の声が介護支援を進める大きなきっかけになりました。
子育てと異なり、介護はネガティブな印象を伴いやすく、周囲に相談するのが難しいと感じている人が多いというイメージがあります。「1人で抱えている人が多いのではないか」とその時に感じ、まずは実態をしっかり把握する必要があると考えました。
-そこで、 社員アンケートを実施されたのですね。
【園城様】
はい。2023年に介護に関する社員アンケートを匿名形式で実施しました。
対象は、一般的に介護に直面しやすいとされる40代以上の社員で、約6割が回答してくれました。
回答を見ると、介護経験がある、または現在介護中であるにも関わらず、職場ではそのことを誰にも話していない、という社員が一定数いることがわかりました。
介護に関してどこまで相談するかは、社員一人ひとりの判断に委ねられており、非常に個別性の高いテーマであるということも改めて実感しました。
一方で、介護に関する情報不足や、介護との両立において職場の理解が得られるかどうかという点への不安も多くありました。これは企業として取り組むべき重要な課題であると強く認識するきっかけとなりました。
【松室様】
そうなんです。アンケートでは、介護の経験がある社員が3割ほど、その半分くらいが現在も介護をしているという結果でした。
声が表に出づらいだけで、潜在的にはニーズがある。会社として支援に取り組むべき課題だと確信しました。
— アンケートを踏まえて、どのような施策を展開されたのでしょうか?
【園城様】
2024年からは「社員が介護や両立に関する正しい知識を得ること」、そして「職場全体で理解を深めること」を目的に、両立支援策の強化に取り組むことを決定しました。
具体的には、7月に全社員向けの仕事と介護の両立支援セミナーを実施し、その後社内の相談窓口を設置しました。さらに11月には、管理職向けの両立支援研修も行い、多層的な支援体制を整えています。
– 最初に行われたのが全社員向けのセミナーかと思いますが、反応はいかがでしたか?
【園城様】
任意参加にしたのですが、想定の倍以上の申込があり、「やはりこれは必要な情報だ」と実感しました。
私たち自身が介護未経験であるため「何を伝えればよいのか」と手探りで進めているところもありましたが、チェンジウェーブグループから提案されたプログラム案が非常に良かったので、安心感を持つことができました。
– ありがとうございます。セミナー後、ご参加者からの感想はどうでしょうか?
【 園城様】
参加者アンケートでは、「介護に直面したとき、何から始めればよいかが分かった」「漠然とした不安が軽くなった」「気持ちが楽になった」「介護経験者であっても知らないことがたくさんあって勉強になった」など、様々な声が寄せられました。
未経験者にも、経験者にも響く内容で、前向きな意見・反応が多く寄せられました。実施して良かったと思っています。
その後、セミナーだけで終わらせず、相談窓口の設置、管理職の研修と多層的な取り組みを展開されています。その背景にはどのようなお考えがあったのでしょうか?
【 園城様】
全社セミナー後に寄せられた社員の声に後押しされた部分が大きかったと思います。
アンケートには「情報を得て、制度を知っていたとしても、それを活用する際に職場に理解されるか不安」「具体的な相談を専門家にしたい」という声がありました。
そこで、介護を担う社員と日常的に関わる立場である管理職にも理解を広げるべきだと考え、11月に「管理職向け両立支援研修」を実施しました。
また、専門家に気軽に相談できるような場所として、相談窓口を設けました。
やるからには全部やろうという気持ちです。
その際にも、一気通貫でサービスを提供してもらっているチェンジウェーブグループに相談しました。それぞれプログラムに繋がりがありますので、社員にも案内しやすいと考えました。
社としてどのようなメッセージを発信し、どのように両立支援を進めていくのがよいか、相談ができて助かりました。
– 管理職向け研修の反応はいかがでしょうか?
【 園城様】
管理職研修には、データを用いた現状共有や、部下とのコミュニケーションの取り方、外部支援機関の紹介など、実務に直結する内容を盛り込んでいただきました。
参加者も多く、反応が良かったですね。
「データでに示されることで、現状を客観的に確認できた」「良かれと思っていた対応が間違った配慮であることがわかった」「ビジネスケアラーになった部下との向き合い方がわかった」といった声が多く寄せられました。
また、「部下に紹介できる支援機関の情報提供があり、心の準備ができた」という声も多かったです。
全社員向けセミナーとの違いとしては、「客観的なデータで示す」というロジカルさが管理職層に響いていたと思いました。
(全社員向けセミナーと)両方参加した方も多かったのですが、共に学びがあったという意見を聞いています。
– ありがとうございます。管理職の役割は大きいと思いますし、様々な面でご支援できればと思っております。
– セミナーに始まり、相談窓口、管理署向け研修と、多層的に取り組みを展開されてきましたが、今後の展望としてはどのように考えておられますか?
【園城様】
はい、法改正などの外部環境の変化もありますし、社員の状況も年々変化していきます。それらに対応していくためにも、定期的な情報発信は続けていきたいと考えていますし、来年度もセミナーは開催する予定です。
【松室様】
どんな取り組みにも通じるのですが、常に「社員の声」を軸にして、何をすべきか考えています。
社会情勢や有識者の意見といった情報をキャッチし、マクロな視点を持っていることも大切ですが、社員が今どんな状況にあり、何を求めているのか、そこに目を向けることが、実効性ある施策につながると感じています。
我々、担当だけではどうしても視点に限りがあります。だからこそ、社員の声を大切にして施策を組み立てていきたいと思います。
– まさに「社員起点」の施策ですね。「社員が安心して長く働き続けられる環境の整備」を目指し、さらに注力していかれるお取り組みはありますか?
【 園城様】
アンコンシャス・バイアスへの対処にも取り組んでいますが、実はそちらも社員の興味・関心が高いテーマです。
社員の興味があるところにこそ、もっと情報提供をしたいと思っています。
-「仕事と介護の両立支援」も、アンコンシャス・バイアス対策も、共通しているのは「誰にも関係する可能性がある」「でも、見えにくい場合が多い」という点ですね。
【 園城様】
はい、ですから、多くの社員が気づきを得ることで、情報を発信する側も、受け取る側も、お互いを尊重し合えるような、アサーティブなコミュニケーション(相手を尊重しながら自分の意見や要望を伝える)が可能になると思います。
そうしたコミュニケーションができる組織になれば、働きやすい環境が作られ、多様な人が能力を発揮することに繋がっていくと考えています。
【松室様】
「会社からの一方通行の発信」ではなく、社員自身が「自分ゴト」として受け取れるような関わり方ができるといいなと思っています。
そうした対話が生まれることで、職場における信頼や安心感も育まれていくのだと思っています。
– お二人のお話から、対話と気づきが循環する組織風土を育てていかれる姿勢が貴社のお取り組みの根底にあるのだと感じました。
貴重なお話をありがとうございました!
社員の声をきっかけに、見えづらかった「仕事と介護の両立」という課題に向き合い、アンケートからセミナー、相談窓口、管理職研修と段階的に取り組みを進めてきた芙蓉総合リース様。
その背景には、「人が価値の源泉」という企業としての理念と「やれることは全部やろう」という、取り組みに対して誠実に向き合う姿勢がありました。
そして何より、「社員の声にこそヒントがある」というご担当お二人のまなざしが、施策を現場に根づかせていく推進力となっています。
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