導入事例

【企業事例】介護を“個人の問題”にしない 両立支援で組織風土醸成を目指す ―ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社 様―

ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社

人事総務部
加藤様

仕事と介護の両立は、多くの企業にとって「まだ顕在化していない」と捉えがちな課題です。
ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社様では、制度整備は進んでいる一方で利用が進まない状況を課題と捉え、「人事として何を判断し、どこまで関与すべきか」を整理するところから取り組みを始めました。
 本事例では、潜在的な課題をどのように捉え、「セミナー」という施策を選んだ理由、そしてその結果として組織にもたらされた変化に焦点を当て、両立支援を人事・DEIの重要課題として推進した経緯を詳しく伺いました。

目次

介護についてどこまで企業が関われるのか?

自分で介護について勉強をしていく中で偶然、酒井さん(チェンジウェーブグループ取締役)が執筆された介護の本(注1)に出会いました。
これまで読んだ本の中で最も腹落ち感があり、ここに書かれている内容をぜひ社員に知ってほしいと思いました。

ただ、その内容を自分ではどう伝えたらいいかわからず、外部の講師にお願いしようと思っていたところ、
酒井さん御本人が講師としてセミナーをされていることを知り、依頼を決めました。

注1:

『ビジネスケアラー 働きながら親の介護をする人たち』  酒井 穣 著



-酒井の著書をきっかけに弊社を知ってくださったのですね。
 セミナーを実施いただきましたが、実際に担当として社内で仕事と介護の両立支援を実施する必要性を感じる場面はありましたか

【加藤様】
正直なところ、弊社ではまだ仕事と介護の両立に関する問題は大きく顕在化していないと思っています。
介護離職もゼロではありませんが、ごくごく少数の例しかなく、介護休暇についても利用者がほとんどいません。
しかし、社員のボリュームゾーンが50代に差し掛かっており、介護と両立する可能性のある層の社員が多く働いているため、潜在的な課題は確実にあるとは思っています。
「制度は利用されていない」からといって課題がないわけではありません。
情報を発信し続けなければ、実際に社員がどのような問題を抱えているのかを顕在化することは難しいと考え、仕事と介護の両立支援の実施に踏み切りました。

セミナー後の反響で社員のニーズを確信できた

ー以前は、イントラネットの情報発信のみで、社員に情報がなかなか伝わっていなかったとお伺いしましたが、
今回は「セミナー」という形を選ばれました。特にどのような点を社員に伝えてほしいとお考えでしたか?

【加藤様】
私が酒井さんの本を読んで印象に残っていたのは、「介護はいつまで続くかわからない」という点です。
介護には経済的な問題がつきまとうため、解消するには「仕事を辞めずに両立し続ける」ことが大切だと考えます。
仕事を辞めた時に瞬間的な楽さはあるかもしれないのですが、介護が長期化した場合のデメリットが大きくなります。
そういった点を私も本を読んで初めて知ったので、社員にも共有したいと考えました。

ー実際にセミナーを受講した社員の方々の反応はいかがでしたか。

【加藤様】
一言で言うと非常に好評でした。「ちょうどいいタイミングですごく良い情報を得られた」「開催してくれてありがとう」という感謝の声や、
「今まで受けた研修で一番良かった」という感想も寄せられました。

ーそれは嬉しいですね。社内にニーズがあったと確信できた反響だったのではないでしょうか。

【加藤様】
はい、社内に需要はあったと確信できました。
アンケートでも「これまでにない情報発信だった」「こういう情報発信は一番大切だと思うので定期的に行ってほしい」という意見が多く、
これまでも、情報発信はしていたのですが、もっと”プッシュ型”で案内をしないと社員に届かないということを、改めて実感しました。

ーセミナーを行う前と後で社員の方々の行動に変化はありましたか。

【加藤様】
人事への相談の件数が増えています。以前であれば、介護の相談を誰にしていいか不明確でしたが、窓口(担当者)を認知してもらえたようです。
また、セミナーの内容への反響で、「あのセミナー良かったよね」と、社内で介護の話題が増えてきました。
介護の話はプライベートなことでもあるし、ポジティブではない話ですし、どちらかというと隠すべきことというような雰囲気が社員の中にあったと思います。
しかし、介護経験者である酒井さんがセミナーで「むしろあなたが介護を抱え込んではいけない」というメッセージを発信してくださったので、
これまでの「自分でやらなければならないという常識」を180度変えられたと感じています。

経営層の理解を得て、当事者以外の社員にも広げていきたい

ー実施された後は反響を得られたセミナーでしたが、実施前には潜在的な課題ゆえに、予想ができないこともあったと思います。
実施するにあたって、難しいと感じた点はありましたか

【加藤様】
40〜50代の社員には介護というテーマが身近に感じられるので刺さりやすく、積極的に参加してくれます。
一方、20〜30代の中には「なぜ自分たちがこのセミナーを受けなければならないのだろう」と思う社員もいるようでした。
全社員が「自分ゴト」としてとらえ、「お互い様の意識」を持つ組織を目指しているのですが、
若手層にとっては自分ゴト化が難しく、介護というテーマに向き合えなかった社員がいるのではないかと想像しています。

ーセミナーは全社員参加必須としてご案内されたのでしょうか。

【加藤様】
はい。介護の制度を利用するとなった場合、当事者本人が理解しているだけでは会社がうまく回りません。
周囲のメンバーが会社の制度や両立の仕組みについて理解しないと、「お互い様意識」をもった組織運営には繋がらないと思っています。

どうしても参加できない社員はいましたが、結果として約1,000人の組織の中で一昨年は約700名程度、今年は500名強が参加しました。

ー50%を超える参加率は素晴らしいですね。
経営層からの理解が得られないというお声もよく伺うのですが、その点はいかがでしょうか?

【加藤様】
介護に限らずですが、多様なバックグラウンドを持つ社員を支援するという意識を経営層は持っていますね。
研修当日も人事担当役員が挨拶を行うなど、コミットメントはしっかりとれていると思います。

弊社を含むサッポログループでは、DE&Iを推進しており、多様な人材が活躍することを目指しているという背景があるので、
介護との両立に対しても理解を得られていると思います。

両立支援を通じて相互理解へー多様な人材が活躍できる組織風土を目指す

ー今年度もセミナーを実施されるとお伺いしています。
今後は、どのようなセミナーをお考えでしょうか。

【加藤様】
2回目のセミナーを行うにあたり、2つの観点を考えています。
一つは、定期的な発信による定着です。
年に1回という頻度だと、内容を忘れることも多くあるので、前回の振り返りを含めた内容を取り入れたいと思っています。

もう一つは、仕事と介護の両立支援をしていくための「風土の醸成」です。
両立を支援するには組織全体で会社の風土を醸成する必要があるので、そこに繋がるような内容を入れたいと考えています。

風土とは結局、人と人とのコミュニケーションの内容や質が関係します。
仕事と介護の両立において、具体的にどのようなコミュニケーションをとればいいのか、その指針を示していきたいと思っています。

―貴社の風土の醸成について、人事として目指されているところ、意識されていることなども良かったらお聞かせください。

【加藤様】
サッポログループではDE&I戦略の中で、多様な背景や価値観を持つ人材が、それぞれの状況に応じて力を発揮できる環境づくりを重要なテーマとしています。
仕事と介護の両立も、その延長線上にあるものだと捉えています。

一方で、私たちは無意識のうちに「皆同じように働けるはず」「制約は個人で乗り越えるもの」と考えてしまいがちです。これは日本企業に共通する課題かもしれません。
だからこそ、介護というテーマを入り口に「人はそれぞれ事情が異なる中で働いている」という前提を改めて共有し、
自己理解と他者理解を深めるコミュニケーションを促していきたいと考えています。
その積み重ねが、DE&Iを実践として根付かせる組織風土につながると、人事として考えています。

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