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ビジネスケアラーインサイト

なぜ今、企業がビジネスケアラー支援に取り組むのか

目次

ビジネスケアラーとは~これまでの施策に欠けていた視点

ビジネスケアラーの人数とこれからの予測

この課題に取り組むべき3つの理由

ビジネスケアラー対策は何から始めるのか

「ビジネスケアラー」とは~これまでの施策に欠けていた視点

ビジネスケアラーとは、仕事と介護を両立する人のこと。
2024年3月に発表された、経済産業省の「企業経営と介護両立支援に関する経営者向けガイドライン」にも使われている言葉です。
これまで「仕事と介護の両立」というと「自身が介護(ケア)をする」ことに目が向きがちでしたが、「ビジネスケアラー」では、仕事を主として両立することに重点が置かれています。

精神的・物理的に介護に携わるものの、家族や介護サービスを含め、
「チーム介護」をマネジメントしていく、といった視点も必要です。
(もちろん、本人の希望によって、そのリソース配分が異なることを否定するものではありません)

ビジネスケアラー問題について、課題感が強まった背景には何があるのでしょうか。
まず、日本の人口構成を見てみます。

日本は未曾有の高齢化社会へ向かっており、2030年には後期高齢者と呼ばれる75歳以上の人口が全体の5人に1人を占めると推定されています。
介護が必要になる可能性が高い方が増えていく、ということです。

ビジネスケアラーの人数とこれからの予測

一方、労働人口は急激に低下しており、2040年には1100万人の労働供給不足が予想されます(リクルートワークス研究所調べ)。
労働力が不足の一途をたどることに加え、組織やビジネスを動かす中心とされる40〜60代の管理職世代が介護問題と直面する世代になってきます。

少子化によって両親や親族の介護を一手に引き受けざるを得なくなる人や、
配偶者の親と自分の親の両方の介護が重なる人、そして子育てと介護が同時期に訪れてしまう人なども出てくることが予測されます。

そうした人たちが、仕事を継続できなくなってしまうこと、生産性が大幅に低下してしまうことは、企業にとって、そして社会にとっても大きな損失となりえます。

経済産業省の算出によると、ビジネスケアラーに関連する経済的影響は9兆1792億円の損失になると見込まれ、その大半を占めるのは「仕事と介護の両立困難による労働生産性損失額」となっています

「ビジネスケアラー問題」に取り組むべき3つの理由

こうした働き手の変化を考えると、たとえ現在は介護に携わる従業員が少ないと思われている企業でも、ビジネスケアラー問題が今後大きな損失を招くことになりかねません。

続いてこの課題に早めに取り組むべき3つの理由をご説明します。

1.今や正規雇用労働者の約半数がビジネスケアラー世代

年齢構成で見ると、正規雇用労働者のうち45歳以上は実に46.3%を占めます。
そして、介護問題が本格化するのもこの45歳以上の世代です。
つまり、正規雇用労働者の約半数が「ビジネスケアラー(予備軍)世代」と言えます。

働き手の多様性が広がってきたとは言え「40代~50代の正規雇用者が組織を支えている」という企業は多く、この課題は看過できません。

2.ビジネスケアラーは、若手社員にも広がりつつある

企業が対策を取るとき、すでに介護と仕事の両立をしている「ビジネスケアラー」への支援だけでなく、介護が発生する前の「ビジネスケアラー予備軍」の人たちへの早めの準備が重要となります。

LCAT(チェンジウェーブグループが提供する両立支援プログラム)を利用したビジネスパーソンの中で、従業員500人以上の企業に勤める人を抽出してみると、

・ビジネスケアラーは45歳以上から大きく増えていく
・40代以下の世代でもビジネスケアラーは存在する

ということが分かります。

また、今後介護が必要になるかもしれない「ビジネスケアラー予備軍」を含めると、
10人に1人は介護と仕事の両立に関して今後支援が必要であるということも示しています。

少子高齢化が進む中、これまで「介護を担う」と想定されていた世代だけでは足りず、
若手にも影響が広がっていると言えます。

3.ビジネスケアラー問題は、これからの女性登用に影響する

介護と仕事の両立については、男女問わず45歳以上から当事者が大きく増えていますが、実際に介護に携わっているのは女性の方が多いという結果があります。

LCATの分析データによると、女性管理職のうち22%が「すでに介護に直面している(要介護認定されている)」と答えており、約55%が「数年以内に介護が起こる可能性がある」と
答えています。

また、女性管理職でビジネスケアラーとなっている方は、7割が「介護と仕事の両立に辛さを感じている」、その半数は「キャリアに不安を抱いている」という結果が出ています。

しかも、ビジネスケアラーのうち、子育てと介護を両立している「ダブルケアラー」は7人に1人(LCATデータより)。晩婚化、出産の高齢化により、30代〜50代の幅広い年代にダブルケアラーは存在し、女性にとってはさらに重い負担が予測されます。

これまでの役割分担意識やアンコンシャス・バイアスから、女性が家事労働や介護を抱える割合は高いのが現状ですが、サステナブルに仕事と介護を続けていくには、家庭内はもちろん、職場での両立支援、働き方改革が不可欠です。

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ビジネスケアラー支援とアンコンシャス・バイアス

ビジネスケアラー対策は何から始めるのか

仕事と介護の両立については、これまで特定の人の問題、遠い先のこと、と思われがちでした。
しかし、お伝えしてきたように、ビジネスの現場においても早急に対策を練るべき課題になってきています。
介護休暇などの制度が整っている企業でも、実際のニーズに合ったものになっているでしょうか。
どのくらいの従業員がリスクを抱えているか、十分なリテラシーを持っているか、実態把握ができているでしょうか。
2024年3月、経済産業省から「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」が公表されました。
ビジネスケアラー問題に企業が取り組むべき時代になったことが改めて示されたと言えます。

リクシス/チェンジウェーブグループでは、これから仕事と介護の両立支援の施策を進めていきたいと思われる 経営者、企業人事・DEI推進ご担当者の皆様に、 ガイドラインの「両立支援のアクションのステップ」にならった 具体的施策の進め方のご提案や従業員の方々に知識を得ていただくための講演、セミナー等をご提供させていただいています。
どうぞお気軽にご相談ください。

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