ビジネスケアラーインサイト
目次
当事者が最初に相談するのは「上司」が8割
「介護で休む」=「専念すべき」と考えてしまいがち
ビジネスケアラーへの対応とエンゲージメント
仕事と介護の両立、具体策の提示にむけて
仕事と介護を両立していくうえで、当事者が知識・情報を持つことは不可欠です。
しかし、相談を受け、当事者を支える側も、適切な対応ができるよう、知識を持っていることが大変重要なのです。
LCATを利用したビジネスパーソンのデータでは、「介護が発生したら上司に相談する」と答えた人は79%。一方、「人事に相談する」と答えた人は20〜60%と、企業によってばらつきが出ました。
業務に影響が出ないよう、上司に相談する人が多いと予想されますが、それを受けとめる管理職はどのように対応すれば良いのでしょうか?
LCAT利用者のデータによれば、管理職の約8割が、介護について予備知識がないと答えています。
介護の経験がない管理職からは、「メンバーが介護に関して相談をしてきた際、どのように対応すべきかについて不安を感じる」「知識がないので、相談されても回答できない」と言ったコメントも寄せられています。
過去記事「失敗しない両立支援 ビジネスケアラー、3つのステージシフト」でもお伝えしたように、当事者は「初動」の時期に最も心理的な負担や不安を感じます。相談した上司がどのように対応したかによって、両立への道は大きく左右される可能性があります。
つまり、人事部門や担当部署の方だけでなく、管理職にもきちんとした知識を持っていただくことが必要になってきます。
「介護のための休みは取りにくい」と多くのビジネスケアラーが感じています。実際、「LCAT」利用者データでは、ビジネスケアラーのうち、連続した休みを取得している割合はわずか5%未満。その背景には、「今やっている仕事から外されるのではないか」「今後やりがいのある仕事は任せてもらえないかもしれない」「キャリアに大きく影響する」「上司に理解してもらえない」という不安があります。
実際、介護経験がなかったり、知識を持っていない管理職は、「介護のために休暇を取るなら、その間は(両立のための体制を構築するのではなく)介護に専念すべきである」と考えがちです。リクシス/チェンジウェーブグループの調査でもそうした傾向が見えます。自由記述で寄せられたコメントでも、部下のために、良かれと思って「仕事か介護、どちらかに専念する」という選択を、管理職が想定してしまいがちな現状が浮き彫りとなっています。
(リクシス/チェンジウェーブグループ 管理職のビジネスケアラー対応力実態調査より)
仕事と育児の両立を支援する際にも「過剰な配慮」は課題となりました。周囲、また、管理職が、当事者に負担をかけすぎないようにと配慮するあまりに、本人の希望や意思を考慮に入れず、成長機会、働く機会を排除してしまうことにつながるからです。
介護でも、同様のことが起こります。「良かれと思って」業務分担の変更や部署の異動などを進めてしまうと、エンゲージメントの低下は免れません。
出所:リクルートワークス研究所「介護中でもやりがいを失わずに働く 新しいビジネスケアラー支援入門」
逆に、仕事と介護を両立する経験を通して「仕事があることのありがたみを実感するようになった」「仕事を社会との接点を確保する機会と感じるようになった」など、仕事に新たな価値観を見出すビジネスケアラーが少なくないという調査結果もあります。
急に仕事が減ったり、勤務が変わったり、ということがあると、当事者は不安になります。会社の配慮だと思うからこそ「キャリアに悪影響があるかもしれない」という不安につながり、話すことを辞め、一人で抱え込んでしまう可能性があります。
「仕事を続ける」ことを前提に相談が始められるような意識を管理職が持っていることはとても重要なのです。
介護離職は本人の長期的な経済的安定を失うだけでなく、企業にとっても大きな損失になります。離職とまではいかなくても、働き手の生産性が低下する危険性は避けたいはずです。
それには職場で「理解し、配慮しつつも、やりがいを奪わない」管理職の対応力・リテラシーと、「介護の精神的・物理的負担を下げる」介護プロによる両立選択肢の提示という支援の両輪が必要です。
職場、特に管理職のビジネスケアラー対応力強化と、介護プロによる相談窓口等の充実、利用促進は、企業にとって必須の対策と言えます。
リクシス/チェンジウェーブグループでは、ビジネスケアラー両立支援として、実態把握からセミナー、研修、相談窓口のご紹介まで、一気通貫にご支援しています。自社の状況にあわせたアクション選定など、お気軽にご相談ください。
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