外国法共同事業法律事務所 リンクレーターズ
山内様
久保田様
望月様
▼目次
増えてきた「介護」への不安、放置するとリスクに
ビジネスへの影響を明確化し「両立」支援に動いた
介護は性別・年齢を問わず関わる問題 多くの所員から高い反応
多様な働き方を支援する「コミュニケーション」の重要性
両立支援が企業価値を高める
「仕事と介護の両立支援」に取り組もうと思われた背景についてお聞かせください。
山内様
以前からダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンを推進する施策には力を入れていましたが、「仕事と介護の両立支援」は2024年の新しく取り組んだテーマです。
取り組みを始めたきっかけは、近年、所員から「介護」に関する悩みを聞く機会が増えてきたことでした。
毎年実施しているエンゲージメントサーベイでも介護に関するコメントが見られるようになり、ファミリーコミットメントのある所員へのヒアリングでも、想定以上に多くの介護に関する声が聞かれました。
当事務所には長く勤務している所員が多いので、年齢層が段々上がってきます。
これまではあまり聞かれなかった「介護に直面しているが周りには相談しにくい」とか「将来的に心配がある」といった声が届くようになったこともあり、このテーマに向き合う必要性を感じました。
今だけでなく、中長期でもキャリアに関わってくる重要なことですから、何かしなければならない、と考えました。 逆に言うと、在籍される方々が相談しやすい風土を作られてきたということですね。具体的にはどんな声が聞かれましたか?
【山内様】
最初は、介護を個人的なテーマとして捉え「職場で話して良いのか」という不安を持っていたようでした。
加えて「親とどう向き合えばいいのか」というような、関係性の問題。
海外出身者も多いので「遠距離で介護に直面したらキャリアはどうなるのかわからない」という不安を持っている人や「どのように両立していくか」これまで想像する機会もなかったという人もいました。
具体的には、どのように動かれたのでしょうか?
【山内様】
介護は非常にプライベートな側面を持ちますので、事務所がどこまで支援すべきかは難しく感じました。
「介護が始まったとしても辞めずに仕事を続けてもらう」「優秀な人材を流出させない」という観点で、事務所として支援を始めた次第です。
とは言え、何から始めたら良いのか全く分からない状態でしたので、以前他の法律事務所から評判を聞いた、チェンジウェーブグループに相談を持ちかけました。 ありがとうございます。当社のコンサルタントがご状況を伺いながら、どのように進めるか、ディスカッションから始めさせていただいたと思います。
【山内様】
仕事と介護の両立支援については、ビジネスに影響があるケースとして理解しづらいものです。どうすればビジネスへの影響が明確になるか、ご相談しました。
最初は「介護に関する悩みが出てきている中で事務所ができることは何か」というような、漠然としたところからでしたが、「両立」という視点をいただいたのが良かったと思っています。
具体的にご提案いただいたのは「仕事と介護の両立支援セミナー」でしたが、内容を拝見して「これは確かに、かなりビジネスに影響する課題だ」と実感できました。
事務所全体でリテラシーを高めることによって、離職防止にもなり、休みの取り方も変わってくる、職場で話題にできれば未然に問題を発見しやすくなる、など、データを交えたお話で理解も深まりました。
当社は「仕事と介護の両立の専門家」であるとお伝えしています。経営陣はビジネスパーソンであり、ケアラー経験があります。また、両立相談窓口を担当するメンバーは介護のプロフェッショナルです。そうした点をご評価いただけたのであれば大変嬉しいです。
仕事と介護の両立支援セミナーに対する反応はいかがでしたか?
【久保田様】
非常に好評でした。ポジティブなフィードバックがたくさん寄せられました。
特に驚いたのは、性別・年齢を問わず、多くの所員からフィードバックがあったことです。ダイバーシティ推進の難しさは、時として「一部の人だけに関わる問題」と思われがちなところにありますが、今回はそうではなかった。「介護」は一部の人の課題ではなく、ほとんどの人がいずれかのタイミングで直面する課題である、と改めて実感しました。
年齢の若い方々にもご参加いただけたとのことですが、工夫されたことはありますか?
【望月様】
もともと関心の高い内容だったのかもしれないのですが、セミナーを告知する際に「これから直面する可能性が高い問題である」と伝えました。その結果、今、介護をしていない方も多く参加してくれたのではないかと思います。
また、アーカイブ配信を行ったので、セミナー後に家族と一緒に視聴した、という所員もいました。私自身も母と一緒に視聴しましたが、これから介護される側の世代として、事前に知っておけて良かった、と言われました。
親に切り出しにくい、というお声もいただくので、話題にするきっかけとして使っていただくのも良いかもしれません。
【山内様】
人事部門としては「職場全体のリテラシーの向上」につながってほしいです。リテラシーを向上させることで、今、介護との両立に向き合っている所員は上司に相談しやすくなりますし、将来の介護に不安を持つ所員は、両立して働き続けられるという励みを持てますので。
最初は「お休みが取りやすくなればいいね」といった認識だったのですが、今はいかに仕事を休まず、辞めることなく、仕事と介護の両立に上手に向き合うことを所員に考えてほしいなと思っています。
今後の展望をお聞かせください。
【山内様】
何か制度を作るというより、正しい知識をもとに多様な働き方を支援していく、に尽きると思います。
一例を挙げれば、上長と部下が1対1で話す「キャリア・カンバセーション」を、全員が行うようにしています。リテラシーを持ち、フォローする仕組みを人事が作っていたとしても、一番の基本になるのは上長と部下とのコミュニケーションだと考えるからです。
キャリア・カンバセーションで話し合っていただくことについては、明文化したアジェンダがあり、チェックリストを展開しています。その重要ポイントのひとつには「柔軟な働き方」という項目を入れました。
短期的な要望だけでなく、中長期的な展望まで視野に入れて話せるようにもしています。それが形骸化しないように、実践レベルで人事がフォローアップしていきたいと思っています。
素晴らしい取り組みですね。「制約を抱えている」と見られる人材に対するアンコンシャス・バイアスをどうマネジメントしていくか、上長と部下の対話から実践に移していくということですね。
【山内様】
弊所のようなグローバル企業では、グローバルで共通の方針・施策がある一方で、日本独自の課題に対応する必要もあります。共通の課題ではあっても各国で温度感が違うものは、ローカライズするべきです。
介護の課題については日本が最も切迫していますから、東京オフィスが先陣をきって対応しようと考えました。今回の「仕事と介護の両立」というテーマについては、初めて日本語でセミナーを行いましたが、それくらい重要なテーマだと思っています。
講師の熱量、また、海外での経験や日本の文化・固定観念をふまえたセミナー内容にしていただきましたので、納得感があった、すんなり入ってきた、という社内からのフィードバックが多かったです。
また、2025年問題(団塊世代の高齢化による介護負担の増加)がメディアでも取り上げられ、「仕事と介護の両立」への関心が高まってきていますが、そうした問題にいち早く取り組んだことを高く評価してくれる声も届きました。
「これから」の問題に取り組んでいくことは、優秀な人材が才能を最大限発揮できる環境を作ることであり、エンゲージメント向上にもつながると信じています。
貴重なお話をありがとうございました!
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