オムロン株式会社 共済会ウィズ
事務局長 小西様
渡邊様
オムロン株式会社では、介護と仕事の両立支援において「制度を整えるだけでは利用が進まない」という課題を背景に、診断やラーニングを組み合わせた教育施策に取り組んできました。(前編記事はこちら)
後編では、相談窓口の設置、管理職の教育、情報発信、そしてコミュニティ形成
といった実践を通じて、環境づくりを進めていく取り組みをご紹介します。
▼目次
専門家に直接相談できる「安心の受け皿」を整備
利用者数は想定以上、社員の「不安に応える」窓口に
管理職に過度な負担をかけない シンプルな情報発信
「話せない」を変える、コミュニティづくりへの展望
– 相談窓口の設置についてお聞かせください。
【渡邊様】
以前から総合相談窓口を設けており、弁護士など様々な専門家と提携していました。
介護士への相談も可能ではありましたが、「仕事と介護の両立」に特化した相談先はなく、生活支援相談のような内容に留まっていたためか、利用はあまり進みませんでした。
LCATを受講後、知識を持った今だからこそ、情報提供だけでは、社員がいざ相談したいと思った時に受け止めきれないと考えました。介護に特化した専門家に直接相談できる窓口・環境を作ることが必要だと思い、チェンジウェーブグループの両立相談窓口の導入を決めたというのが経緯です。
情報を発信し、教育を行いながら、不安に思うことがあれば「専門家に相談できる場所」がある。会社が従業員を全体的にサポートしていることが伝わればと思っています。
– 実際の利用状況はいかがでしょうか?
【渡邊様】
最初は不安でしたが、開始直後から予約枠のほぼすべてが利用され、現在もその状況が続いています。私たちが想像する以上に多くの社員が介護に不安を感じており、初期段階から相談ニーズを持っていると実感しました。
相談後のアンケートでは、ほぼ全ての社員が「今後も相談窓口を続けてほしい」という回答でしたし、良いサービスを導入したと実感できています。webで予約できるのも便利だとのことでした。
ある社員に話を聞いたところ、「まだ介護は始まっていないが、親の体が弱ってきて心配」「遠方に暮らす親の今後を考えたい」といった相談をしたとのことでした。この方のように、介護が始まる前の段階から相談できる両立支援窓口は、社員にとって非常に大きな安心になります。
– 何か利用を促す工夫もされたんでしょうか?
【小西様】
単に窓口を設置するだけでは利用が進まないケースもあるかもしれません。
今回は、介護ガイドブックやメールマガジン、トップメッセージなどを活用し、会社として仕事と介護の両立を支援するというメッセージを伝えられるよう、情報発信を強化しています。
そうした中で社員のリテラシーも向上し、制度を使ってみよう、という風土に変わってきているのかもしれません。
【渡邊様】
イントラネットには多くの部署が投稿しているため、情報が埋もれやすくなります。定期的に1番上に引き上げるなど、必要な社員に気づいてもらえるように地道に取り組んでいます。
こうした継続的な発信が、利用促進につながると実感しているところです。
– 相談窓口だけ導入してもなかなか利用率は上がりませんし、適切な情報を得ていただけないケースもあります。やはり土台となる知識を身に付けていただくこととの組み合わせが効果を上げたのですね。
– 管理職の研修・教育で意識されたことはありますか?
【小西様】
介護について相談しやすい雰囲気をつくるには、所属長の理解が不可欠です。
ただ、介護の具体的な対応・相談は介護の専門家でなければ難しいですよね。ですから「疑問があれば相談窓口へ」と伝え、所属長は「働くこと」を支援する環境づくりに目を向けてもらうようにしています。
また、所属長に留まらず、社員は皆、業務で忙しいことも理解していますから、情報提供はシンプルに。現在はLCATのeラーニングと相談窓口に絞り、セミナー開催は控えています。教育効果と管理職の負担軽減、その両方を大切にしています。
– 今後の展望についてお聞かせください。
【小西様】
次のステップとしてはコミュニティ形成です。専門家を交え、社員が気軽に話せる場をつくりたいと考えています。
-コミュニティ形成に関心をお持ちの企業様も多いですね。
介護は個別性が高いため、経験談が100%他者にもあてはまるわけではないことを前提として理解するなど、注意点があります。専門家の客観的な視点で状況を整理し、ファシリテーターとしてミスリードを予防することは必要かもしれません。事例など、ご紹介させていただきますね。
【小西様】
はい、ぜひ他社事例や注意点等を聞きたいです。
【渡邊様】
介護は個人の事情、家族環境等にも深く関わるため、職場では話しにくいテーマとされています。だからこそ、会社が積極的に支援するというメッセージを発信していくことで、職場でも話せる、というイメージにつながるといいと思っています。
最終的には、自然と多様な社員が働くことができるようになり、離職を防げる環境が作られていることが理想です。地道で息の長い取り組みにはなりますが、これからも真摯に取り組んでいきたいと思います。
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